TOEFLは1964年にスタートした英語検定試験。50年以上にわたり世界中で3,500万人以上に受験されています。
TOEICと名前が似ていますが、出題内容や利用される目的は別のものです。
本記事では、TOEFLの特徴や試験内容について詳しく解説していきます。
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TOEFLとは
TOEFLとは「Test Of English as a Foreign Language」の略で、英語が母国語ではない人のための英語検定試験です。
アメリカのニュージャージー州に本部を置くETS(Educational Testing Service)によって開発、運営されています。
TOEICがビジネス英語なのに対し、TOEFLは大学生活や学問に関するアカデミックな内容の試験。
アメリカをはじめとする海外の大学へ留学する時に利用されることが多いです。
ETSではTOEFLで高得点が取れれば、以下のことが期待できると述べています。(参考:TOEFL公式サイト、TOEFLスコア利用実態調査報告書)
- 英語圏の大学で教授やクラスメートと流暢にコミュニケーションがとれる
- 講義に必要な専門書を読むことができる
- 論文やレポートを書くことができる
- 授業中に発言することができる
またTOEFLは留学だけではなく、日本国内の大学入試にも広く利用されています。
2018年TOEFLスコア利用実態調査報告書によると、東京大学、一橋大学など国公私立合わせて337大学が入試に活用。奨学金の申請に使用されることもあるということです。
TOEFLの種類
TOEFLと一言で言ってもPBTやiBTなど種類があるので、何の違いがあるのかよく分からないという人は多いでしょう。実はテスト形式によって呼び方が異なるのです。
1964年にはじまって以来、現在のiBTに至るまで何度かテスト形式が変化してきたTOEFL。
これまでのテスト形式を簡単に振り返っていきます。
TOEFL PBT
PBTとは「paper-based test」の略で、1960年代にコンピューターが一般的でなかった時のペーパーテストです。
日本では2007年11月にPBTテストは廃止されました。
2017年7月には全世界でサービスが終了しましたが、同年10月からリビアやスーダン、タンザニアといったインターネット受験ができない地域限定で、PBTに代わり「Paper-delivered Test」が開始されています。
TOEFL CBT
CBTは「computer-based test」の略です。
1998年から導入された、コンピューターで受けられるようになったテストで、日本では2000年10月から導入。
次に紹介するiBTの登場に伴い、2006年9月をもって全世界でCBT受験は廃止されました。
TOEFL iBT
iBTは「Internet-based test」の略で、試験会場でインターネットを利用して受けるテストです。
2005年9月、アメリカやカナダで開始され、2006年7月には日本でもスタートしました。
ただし現在、日本で受けられるのはiBTのみとなっています。
TOEFL ITP
ITPは「Institutional Testing Program」の略で、教育機関を中心に利用されている団体向けのテストのこと。
日本では主に大学で実施され、そこに所属する学生の交換留学生を選抜する試験として使われることが多いです。
2技能のITPで高得点を取ってからiBTに挑戦する人もいます。
TOFELの特徴
TOEFLは海外の大学でキャンパスライフを送るために必要な、英語力を測定するための試験です。
ここではテストの特徴や結果の利用目的などを説明します。
聞く、読む、話す、書くの4技能が求められる
TOEFLはIELTS、英検などと同様に4技能試験であり、各技能別にスコアを発表。
学生生活を送る上で必要な、コミュニケーション能力と読み書きのスキルが測定されます。
リーディングとリスニングはコンピューター、ライティングは採点者と自動採点者(AI)の併用で採点。スピーキングは3〜6人の複数の採点者によって採点されます。
ただし団体向けのTOEFL ITPでは、リーディングとリスニングのみの試験となっています。
結果は合否ではなくCEFRに連動したスコアで出る
TOEFLの試験結果は、ヨーロッパ言語共通参照枠のCEFR(セファール)に連動したスコアで出ます。
4技能それぞれがCEFRのレベルで表され、トータルのスコアもCEFRで表示。合否判定はありません。
CEFRは最初級のA1からA2、B1、B2、C1、C2の6段階に分かれていて、それぞれのグレードでどういったことができるのかが定められています。
たとえばA1について厚生労働省は以下のように述べています。(引用:厚生労働省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」)
具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる。
各レベルで具体的にできることが明記されているので、分かりやすいですね。
スコアが海外留学に役立つ
冒頭でも触れましたが、TOEFLは海外に留学するときの英語力の基準として利用されることが多く、世界150か国、11,000以上の大学や機関で活用されています。
たとえば、東北大学、中央大学などの留学生募集要項では、iBT61が海外留学するための最低ライン。
また留学先の大学によって必要なスコアが異なり、たとえば中央大学の場合、アメリカのアリゾナ大学の学部生は70、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学では82が基準点です。
留学ができる英語力の証明というだけではなく、テスト内容そのものも海外でのキャンパスライフを想定したものなので、将来海外の大学で勉強したい人はぜひ受けておきましょう。
【準備が大切!】留学前にすること7選、留学前にやることリストを確認しておこう
TOEFL iBTのレベル(難易度)をIELTSや英検と比較
以下、TOEFLのスコアを同じく4技能試験であるIELTSや英検と比較しました。
今後受験の予定がある人は参考にしてください。
(参考:厚生労働省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」、文部科学省「英語4技能評価の導入について」)
TOEFLスコア42~71
IELTSに換算すると4.0~5.0、英検では2級~準1級に相当。
仕事や学校、娯楽などの日常的な話題に関して標準的な話し方なら理解することができ、自分自身のことや関心のあることについて簡単な文章を作ることができるレベルです。
TOEFLスコア72~94
IELTSに換算すると5.5~6.5、英検では準1級から1級に相当。
話題が抽象的なものであっても、具体的なものであっても複雑な内容の文章が理解でき、幅広い話題について筋の通った文章を作ることができるレベルです。
またネイティブスピーカーとは緊張せずに普通にやりとりできる程度の流暢さが要求されます。
TOEFLスコア95~120
IELTSに換算すると7.0~8.0、英検では1級に相当。
いろいろな種類の複雑でかなり長い文章の意味を把握できるレベルです。
社会生活におけるアカデミックな話題や専門的な話題でもフレキシブルに言葉を選ぶことができ、自然に自己表現ができることが求められます。
TOEFLの試験内容
TOEFLは試験当日にインターネット配信され、全部で約3時間。
リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの順で行われ、試験中はメモを取ることができます。
ただリーディング以外のセクションでは、前の問題に戻ることができないので注意しましょう。
リーディングとリスニングには、スコアに加算されないサンプル問題が含まれることがあるため、試験時間に幅を持たせてあります。
具体的な試験内容や所要時間について詳しく見ていきましょう。
リーディング
リーディングのテスト時間は54〜72分。
大問3〜4つ、各10問出題されます。大問1つにつき文章は約700ワードです。
文章の内容は人文学や社会科学、歴史や芸術など大学で専門的に学ぶような題材が選ばれます。
出題形式は選択問題やグループ分け、文章の挿入問題や要約問題など。
高得点を狙うためには、普段からアカデミックな論文などを読んだり、パソコン上の文章を読むことに慣れておく必要があります。
リスニング
リスニングの時間は41分〜57分です。
実際に大学で行われるような講義と会話の2種類から構成されています。
講義の問題は大問3〜4つで各6問。会話の問題は2〜3つで各5問ずつ出題。
例えば心理学や文学についてのレクチャーや教授と学生の会話、学生とキャリアアドバイザーとの会話などがトピックに取り上げられることが多いです。
リスニングの音声は1度しか再生されないので、集中して聞き取るようにしましょう。
スピーキング
スピーキングは対面で会話をするのではなく、ヘッドセットのマイクを使って録音されます。
テスト時間は17分で、授業やキャンパスライフで実際に起こるような場面におけるスピーキング力の測定が目的です。
試験内容は、質問に対して意見を述べる「independent task」が1問。テキストを読んだり、講義を聞いてそれについて答える「integrated tasks」が3問出題されます。
Independent taskでは、2つの対立した状況があり、どちらを支持するかを理由とともに述べる問題が出題。
たとえば「友人と共同で大学の課題をこなすことになった時、大学内でやったほうがいいか、それとも自宅でやったほうがいいか」等がトピックになります。
Integrated tasksは2パターンの問題があります。
- テキストを読む(45〜50秒)→それについての講義を聞く→テキストと講義の内容に関する質問に答える
- 講義を聞く→ 講義の内容に関する質問に答える
1のパターンが2問出題され、2の問題が1問出題。
実際の講義のように、事前に資料を読んで授業に参加し、そこで発言するというような場面を想定して作成されています。
ライティング
ライティングのテスト時間は50分。タイピングでエッセイを2本書く試験です。
手書きではなくパソコン上に入力するので、基本的なパソコン操作が必要になります。
スピーキング同様、テストはindependent taskと integrated tasksに分類。
Independent taskは与えられたトピックに対して、30分で300ワード程度のエッセイを書きます。
たとえば「科学的な発見は世界中にシェアされるべきか、それとも発見した国の政府によって保護されるべきか」といった内容の問題が出題されます。
一方integrated tasksでは、230〜300ワードほどのテキストを読み、それについての講義を聞き、(ワード数はテキストと同程度)20分で150〜225ワード程度のエッセイを書く問題です。
TOEFL iBTの料金や申し込み方法、受験の流れ
ここではTOEFLの受験料や申し込み方法、会場や受験の流れについて解説していきます。
費用は米ドル表記のため、申し込み前に為替レートを確認するようにしてください。
TOEFL iBTの受験料
現在のTOEFLの受験料は245米ドル。
支払い方法は以下の表を参考にしてください。
支払い方法 | ETSアカウント (My TOEFL Home) | 電話 | メール |
---|---|---|---|
クレジットカード /デビットカード | ○ | ○ | ○ |
電子小切手 (e-check) | ○ | ○ | |
PayPal | ○ | ||
小切手/郵便為替 | ○ |
(参考:TOEFL公式サイト)
TOEFL iBTの申し込み方法(個人受験の場合)
TOEFL iBTの申し込みはオンライン、電話(海外で受験する場合)、郵送で受け付けています。
最も簡単なのはETSアカウントを使ってのオンライン申し込み。
手順は以下の通りです。
- TOEFL公式サイトから「受験申込」をクリックして「My TOEFL Home」というアカウントを作成
- すべての情報を入力し、ユーザー名とパスワードを作成して送信
- テストセンターとテスト実施日時の選択
- 登録を完了
- 受験料の支払い
ちなみにETSアカウントでは以下のことができます。
テスト日、会場の検索
受験申込
スコアの確認
スコア郵送の手続き
オンライン、電話の申し込み締め切りはテスト日の7日前まで。郵送の締め切りはテスト日の4週間前までです。
テスト会場に空きがあれば、締め切り後に申し込み可能な場合もありますが、受験料は275米ドルと高くなります。
また、申し込みには原則的に有効期限内のパスポートが必要なことも覚えておきましょう。
受験回数に制限はありませんが、再受験は3日間空けなければいけません。
試験の実施場所
TOEFLは全国27都道府県、70箇所以上の会場で受験することができます。
中国・四国地方には会場が3県(広島・香川・高知)4箇所と少ないので、注意しましょう。
自宅近くに会場がない場合は、最寄りの会場まで受けに行く必要があります。
公式サイトによると、2020年は年間49回の試験が実施予定。
通常は月3〜6回、年間45回以上行われることになっています。
日本では平日に試験が行われた例が今のところなく、土日のみとなっています。
受験の流れ
受験の流れは以下の通りです。
テスト前日
滅多にありませんが、天候不良などが理由で試験がキャンセルになる場合もあり得ます。
前日に、TOEFL iBTテスト運営団体 (株)プロメトリックのサイト上で通知されるので確認しましょう。
テスト当日
遅くともテスト開始時間の30分前には会場入りして手続きをしましょう。遅刻した場合は試験が受けられないばかりか、返金もありませんので要注意です。
会場に着いたらチェックイン、身分証明書の提示をします。
試験は一斉に始まるのではなく、受験会場で手続きが終わった順にスタートします。
たとえば、自分がリスニングをやっているときに別の人はスピーキングをやっている、というようなこともあるので驚かないようにしましょう。
テスト後
受験後約6日後に、My TOEFL Home上でスコアの確認ができます。
TOEFL iBTの試験対策はどうする?
ここではTOEFLのテスト対策をいくつか紹介していきます。
無料で始められるものもいくつかあるので、参考にしてみてください。
TOEFL対策コースがある英会話教室や塾に通う
独学で勉強するのもありですが、TOEFL対策コースがある語学学校に通う人も多いです。
日本の英会話学校でTOEFL対策コースがあるスクールを2校紹介します。
日米英語学院のTOEFLコースは4技能、目標スコア別に細かくクラスが分けられていて、弱点をピンポイントで強化することができるカリキュラムとなっています。3ヶ月12回(1回55分)のレッスンが入学金込みで10万円からです。(教材費は別になります)
イングリッシュイノベーションズの講師は全てネイティブ。クラス内では常に英語がルールとなっています。カリキュラムはアメリカで20年以上研究を重ねた開発されたもので、新宿校の場合は4週間(20時間)のTOEFLコースが84,095円です。
マンツーマン専門の英会話スクールで個人的に習う
プライベートレッスンでしっかり成果を出したいという人には、マンツーマン英会話スクールもおすすめです。
グループレッスンの英会話学校と比べると、1回あたりの授業料が割高ですが、マンツーマン指導なら自分だけのプランを作成してもらい、徹底した弱点強化が可能になります。
以下のスクールではマンツーマンでTOEFL対策を行っています。
バークレーハウス語学センターは1973年創業の老舗語学学校で、日本人講師とネイティブ講師が在籍。検定試験の指導に定評のある学校で、TOEICやTOEFL、IELTSで満点を取得した講師が多数所属しています。
リーディングや複雑な文法は日本人講師に、スピーキングはネイティブ講師から教わるといった利用の仕方も可能です。
TOEFLプライベートレッスンは1回55分あたり10,450円(税込)となっています。
一方、Liberty English Academyでは、コロンビア大学ティーチャーズカレッジで認められた「グラマーテーブル」という独自の教授法で指導。
6ヶ月でTOEFLコース受講者の点数を50〜60点アップさせた実績があります。TOEFLプライベートコースは1回50分のレッスンが24回で入会金込みで979,000円(税込)です。(1回あたり約40,791円)
予算に余裕があればプライベートレッスンを試してみてもいいのではないでしょうか。
フィリピン留学を試してみるのもあり
ある程度の期間海外に行く時間の余裕がある方は、フィリピン留学を試してみてはどうでしょうか。
フィリピンの語学学校は三食宿泊施設付き、ビザの取得や更新といった面倒な手続きを代行してくれるので、お手軽に留学することが可能です。
1週間からの短期留学ができ、費用はおよそ50,000円〜となっています。
ETSのインストラクターのオンライン講座を受けてみる
TOEFLの試験対策として、ETSのインストラクターが作成したオンライン講座を受けることができます。受講後に修了証を受け取りたい場合は、別途49米ドルが必要です。
登録から6週間は無料で利用可能。1週間あたり2~4時間ほど受講すれば、6週間で終了できるボリュームです。
TOEFLの4技能それぞれについての効果的な学習法、テスト中の時間管理等について解説しています。
公式教材を使って勉強する
ETSは、公式オンライン教材(自主学習プログラムと模擬試験の2パターン)を発売しています。
自主学習プログラムでは、4技能合わせて80時間分の問題が収録。
模擬試験は実際の過去問を利用しているので、本番と同じレベルの試験が受けられます。画面表示、操作すべて本番と同様になっているので、試験慣れにもおすすめです。
ただし模擬試験の問題を解くことができるのは1回きり。何度も解くことはできないので注意してください。
何度も繰り返し問題を解きたい人は4回分のテストが収録されている、日本語解説付きの書籍版もあるので、そちらを購入するといいでしょう。
アプリで勉強する
最後に、無料で使えるTOEFLの勉強に役立つアプリを3つ紹介します。
TOEFL Go! Global
TOEFL Go! Global (iOS, Android)は、ETSがリリースしている公式のアプリです。
各セクションのサンプル問題を無料で解くことができます。問題のボリュームは多くないので、TOEFLで具体的にどんな問題が出るのかを知りたい人はチェックしてみましょう。
アプリ内で課金すると練習問題を購入することができます。
Magoosh:TOEFL Speaking & English Learning
英語の4技能のうち、スピーキングが一番苦手という人は多いのではないでしょうか。他の分野に比べて独学しづらいのがスピーキングですよね。
Magoosh:TOEFL Speaking & English Learning(iOS, Android)では、録音機能や時間制限、模範解答まであるので、本番さながらの練習が可能。
independent taskが8問、integrated tasks が16問用意されていて、本試験同様に大学生活やアカデミックな分野から出題されています。アプリを使って効率よくスピーキング力を伸ばしましょう。
TOEFL iBT Preparation
TOEFL iBT Preparation(iOS, Android)はTOEFLに対応している単語帳です。試験で使用される単語は専門的なものが多く、日常的に使われない言葉も出てきます。
「TOEFL iBT Preparation」ではTOEFLで頻出の人文学や生物学、芸術など6つの分野の単語を収録。
覚えた単語の確認テストもできるので、難しい専門用語も効率的に覚えることができます。
海外留学を目指すならTOEFLを受験しよう
TOEFLは、英語圏の大学で周りの人と流暢にコミュニケーションがとれる英語力を測るもの。
海外に行ったはいいけど講義についていけなくて泣く泣く帰国・・ということがないように、各大学などで入学基準としてスコアが設けられていることがほとんどです。
TOEFLで高スコアをとれば、論文やレポートをすいすい書くことができる能力があるということなので、海外生活が問題なく送れるでしょう。
海外の大学受験や将来的に移住を考えている人は、一度受けて見てはいかがでしょうか。