自宅で勉強や仕事をする時間が多くなって、なかなか集中力が続かない…と悩んでいませんか。
私もリモートワークが続いて、集中力を持続させるのに苦労しています。
そこで今回は集中力が続かない原因や、その対処法についてまとめました。
勉強や仕事の集中力が続かない、すぐ切れてしまう原因とは
集中力が続かない原因は、時間と作業内容、環境に大きくわけられます。
それぞれ確認しましょう。
そもそも目標時間が長い
生物には1日の生理現象が決められた周期で行われているという「サーカディアンリズムの周期」というものがあります。いわゆる体内時計というやつです。
人間の周期は90分単位。
そのためこの周期にのっとり、90分ごとに集中と休憩を繰り返すのが効率のよい方法とされています。(参考:ハーバード大学 根来秀行教授)
2時間、3時間集中しようと思っても、作業効率を下げるだけなので、適度に休憩をはさみつつ集中力を持続させましょう。
訓練すれば120分まで集中力を伸ばすことができるとの研究もありますが、まずは無理せず集中力の続く範囲で積み重ねていくことが大切です。
いろいろな仕事や勉強を同時にやろうとする(マルチタスク)
同時にいろいろなことを行うのは集中力の敵。
人間の脳は迷ったり判断することにかなりエネルギーを使います。
そのためあれこれと同時に物事をこなそうと思ったら、何をしなければいけないか考えることに脳のエネルギーを使い、その分集中できる時間は短くなることに。
たしかにマルチタスクはかっこいいかもしれませんが、集中力を切り替えるのに費やした時間はロスになってしまい、結果効率は悪くなる一方…ということになりかねません。
誘惑や雑念が多い空間にいる
自宅で勉強、仕事をする場合は環境が原因になっているケースも多いです。
たとえば近くにスマホや漫画などの誘惑があってつい手を伸ばしてしまったり、テレビや隣家の騒音が気になってしまったりすると、なかなか集中できませんよね。
騒音が気になるならヘッドフォンをしたり、誘惑が多い場合は別室に移動するなど、自分の集中できる空間をつくる工夫をしましょう。
集中力が切れたときの対策、対処法と集中力をアップさせる方法
人間はそもそもなにかひとつのことに集中できるよう作られていません。
何かに熱中してしまうと、もし命に関わることが起きたときにそれを回避できなくなる可能性があるからです。
それでも、うまく生活習慣に作業時間を組み込んだり、脳をリフレッシュさせることで集中力をアップしたり回復させることはできます。
適切な時間と目標設定をする
まずは、作業時間の適切な設定から行いましょう。
15分や90分ごとに短い休憩を入れる
東京大学の池谷裕二教授は、15分ごとに小休憩をはさんだ場合と60分勉強をし続けた場合で比較し、前者の方は前頭葉のガンマ波(集中力に関する脳波)が休憩ごとに復活するのに対し、後者では45分以降下降していくことから、人間が特に集中できる時間は15分だという研究結果を示しています。
そのため、15分おきに1分程度立ち上がったり体をほぐすなど、1~2分の小休憩をとるのがおすすめ。
ただ、テストや仕事など、必ずしも15分ごとに休んでいられないケースも多いですよね。
その場合は前述したサーカディアンリズムの周期に従って90分を一区切りに休憩をはさむといいでしょう。
短時間で達成できる小さな目標をいくつもつくる
たとえば90分集中すると決めた場合、その間に達成したい小さな目標をたてるのも集中力アップには効果的です。
時間を無意味に費やすのを防ぐことはもちろん、目標を達成すると脳が出すドーパミンがポイント。
ドーパミンは記憶力ややる気をアップさせる大切な要素です。
90分でどこまでの作業や勉強の目標を立てそれを達成することで、次の90分間のためのやる気を維持させます。
子どもであれば、1ページ終わるごとにシールを貼るなど、目に見えた達成感があるとより良いでしょう。
やるべきことを整理する
やるべきことを整理してマルチタスクを避けるのも、集中力を持続させるのに役立ちます。
優先順位をつけ、ひとつのことをやり遂げる(シングルタスク)
ただやみくもに勉強や仕事を始めてしまうと、後から後から「そういえばこれをやらなければならないんだった」「あれも終わらせなきゃ」といったように、マルチタスクの状態になってしまいます。
そのため、集中したいというときには、何から始めるのか優先順位をつけることが大切です。
思考のラベリングを行う
ラベリングとは、雑念のせいで乱れた集中力を戻すのに有効な方法。
自分の意識していることに簡単な「ラベル(=名前)」をつけて、いったん思考を区切ることで、雑念をストップさせます。
たとえば仕事中、まったく関係のない「夕飯の献立」について考えはじめてしまったとしましょう。
このとき、夕飯に向いた思考に「雑念」や「献立」などと名前をつけ、そこで考えるのを終わりにします。
自分の思考を分類して、今不必要なものはいったん脇に置いておくようなイメージですね。
これが習慣づけられると、雑念に分類されたものから、すぐに集中状態に切り替えることも可能です。
スポーツ選手が「集中、集中!」と声を掛け合うのも、体にしみこませた集中状態を引き出すために行うラベリングの一種。
何となく余計なことを考えがちな人は試してみましょう。
集中できる環境を整える
集中できる環境づくりも大切です。
家族と同居している場合は、理由を説明して協力をしてもらうのもいいですね。
スマホなどの気が散るものを手元に置かない
スマホや本、ゲーム、鏡など集中力を妨げる誘惑になるものはなるべく手元に置かないのが、集中力を保つためには望ましいです。
特にスマホを机の上に置いておくと、メッセージやSNSの通知でせっかくの集中が切れてしまうこともあります。
机の上に仕事や勉強道具以外は置かない、どうしても手に取ってしまう場合は、誰かに預けたり遠くに保管するなど、気が散らない環境を作りましょう。
アロマや音楽などで集中できる空間をつくる
無音じゃないと集中できない、音楽を聴いていた方が集中できる、というのは人それぞれですが、一般的に50デシベル程度の環境音がある方が集中力はアップするといわれています。
50デシベルというと、雨の音やカフェや図書館などのちょっとした物音。
Youtubeなどにも作業用の動画があるので、BGMに使ってみるのもいいですね。(参考:教室内音環境が学習効率に及ぼす影響)
またアロマも集中力アップに効果的。
ペパーミントやグレープフルーツのすっきりした香りが特にリフレッシュできます。
体調を整える
集中力には規則正しい生活が必要不可欠。
前述したサーカディアンリズムの周期を利用して、集中する習慣をつけましょう。
睡眠時間を確保し、しっかり寝る
睡眠時間が短いと、集中力や記憶力が低下するというのはよく言われていますよね。
脳は寝ている間記憶の整理(ノンレム睡眠)と休息(レム睡眠)を行います。
一回のノンレム睡眠とレム睡眠の周期は約90分(人によって前後します)。
このサイクルを3~4回繰り返す6~8時間が、最適な睡眠時間です。
睡眠は長ければいいというものではなく、毎日一定のサイクルを保つことが大切。
そのため、6~8時間も睡眠をとれないという場合は、1~2サイクルの3~5時間程度で調節してみましょう。
睡眠アプリなどを使えば、指定した時間付近の眠りの浅いタイミングで起こしてくれるので便利です。
また休日に毎日同じ生活サイクルを保つことも、集中力を養うためには重要。
休日だからだらだらと寝るのではなく、平日と同じように過ごすことを心がけましょう。
朝ごはんをきちんと食べる
朝ごはんは1日のスタートとしてとても大切。
お米などの炭水化物は脳の栄養源となる糖を含んでいるうえ、「噛む」という行為は脳の血行をよくします。
朝は食欲がないという人はするするっと食べられるお茶漬けやスープ、バナナなどのフルーツを乗せたヨーグルトなんかがおすすめです。
適度に体を動かす(ストレッチなど)
ちょっとした休憩時間に体を動かすのも大切。
というのも、長時間同じ体勢でいると、呼吸が浅くなって脳に回る酸素の量が減り、集中力が低下することにつながるのです。
一度立ち上がり、肩、腰、脚を回したり曲げ伸ばしすることはもちろん、目をぎゅっとつぶってぐるっと遠くを見て目の凝りをほぐすのもリフレッシュに効き目があります。
集中力には適切な時間・目標の設定と作業環境が大切
集中力は一朝一夕で身につくものではなく、普段からの意識や生活習慣も大きく関係します。
集中できる時間の長さや周囲の環境など、自分にとって最適な状態は人それぞれです。
自分に合った環境を見つけて、集中して勉強やお仕事がはかどりますように。