私はずいぶんと前から「左右」がわからなくて悩んでいました。
仮免許を取得する際に、教官から「ハンドルを左に切って」と言われたのにもかかわらず右に曲がってしまい怒られた」のは苦い経験です。
私のような「とっさに左右の判断をするのが苦手な人」のことを左右盲といいます。
日常生活でちょっと困ることもしばしばある左右盲ですが、意外と同じ症状で悩む人が多いことに最近気が付きました。
今回はそんな左右盲の人の原因や対処法、さらに「もしかして自分左右盲かも?」と感じた人のためのセルフチェック方法を紹介していきます。
左右盲(左右誤認)とは?
左右盲(読み方:さゆうもう)は、右と左がとっさにわからなくなってしまう人のこと。
広義では左右誤認や左右失調とも呼ばれています。
左右盲の人の特徴・あるある
左右盲の人にはこんな特徴があります。
- 一度考えないと左右が判断できない
- 「向かって右」の意味が理解できない
- 「右折」「左折」といった音読みをされるのがさらに苦手
- 「右回り」「左回り」になるとちんぷんかんぷん
- 上下はわかる
左右盲は完全に左右がわからないわけではなくて、「みぎ、ひだりはわかるけど右折と左折がわからない」「少し考えればわかるけど急に言われると戸惑ってしまう」など人によって形は様々です。
左右盲の人の割合
左右盲の人は意外と多くいます。
ワシントン大学の研究結果(右左の混乱に関する研究結果)によると、大人であっても左右の区別がつきにくい人は、実験を行った大学教授たちのうち約20%。
多いから安心ということではありませんが、誰にでも起こりうることなので、そう気に病まずにいきましょう。
「左右盲」は病気や障がいの名前ではない
「左右盲」は一見、病気のような名前ですが、あくまで「大人になっても右と左の区別が苦手な人」の俗称。
テレビやネット上などで話題となり「あっわたしも!」と思った人たちの間で広まった名前であって、病気や障がいを表す医学用語ではありません。(ゲルストマン症候群などの症状の一例となることはあります)
ただし、泳げない、速く走れないといったような「苦手」に比べ、他の人をイライラさせてしまったり、運転中の事故や仕事のミスにつながったりと、あまり褒められたものでないのも事実です。
左右盲のセルフチェックをしてみよう
自分は左右盲かもしれない…と思った人はとりあえず簡単にチェックをしてみましょう。
□左折と言われたのに右折することがよくある
□道を覚えるのが苦手
□体の特徴で左右を覚えている
□向かい合っている人の左手がどちらかとっさにわからない
□車の運転中、ウインカーを出すのが苦手
□エレベーターの「▶◀」「◀▶」の開閉がとっさにわからない
□旗あげゲームに弱い
□左手で右方向を指さしてください(3秒以上かかったらチェック)
半分以上あてはまってしまった人は左右盲であるか、もしくは左右盲の気があります。間違いは誰にもあることですが、あまり頻度が高いとやはり心配になってしまいますよね。
さらに詳しくチェックしてみたい場合は、先ほど紹介したワシントン大学の自己診断テストを実施してみましょう。(自己診断テスト)
上下の結果に比べ、左右が著しく悪い場合は、左右盲と考えられます。
左右盲になる原因は?
実は左右盲の人が「どうして左右がわからなくなってしまうのか」についての原因は詳しく解明されていません。
けれど経験談を見てみると意外とパターンは決まっているようです。私の経験談を含めて紹介しましょう。
左利きだったのを矯正した(クロスドミナンス)
一番よく聞くのがこのパターン。
左利きを矯正して両利きや右利きにした人は、最初に左右を覚える際によく使う「〇〇する方が右」がぴんとこないことがあります。
両方使えてしまうから片手に優位性がなく、元から右利きの人よりも覚えづらいんです。
特に「文字は左で書くけど、箸は右」「箸は左と覚えていたのに途中から右で持つようになってしまった」といったように中途半端に矯正してしまったケースが混乱をまねく原因になってしまいます。
ダンスなど鏡や先生を見て振りを覚える機会が多かった
小さいころダンスやバレエなどの習い事をしていた人も左右盲になることがあります。
ダンスは鏡や先生を見て振りを覚えますよね。向かい合った先生と同じ動きをするには、先生が左手をあげたら自分は右手を、右足をあげたら左足を上げなくてはいけません。
広いレッスン教室だと、鏡に映った先生の姿を見ることもあります。そうなると左右はもうぐちゃぐちゃですね。
こういった経験が左右を混乱させて結果、左右盲につながることもあるんです。
場所が定まっていない物を基準に左右を覚えてしまった
たとえば私の場合小さいころ「奥に銀歯のある方が左」と体で覚えてしまいました。
そのせいで、乳歯が抜けた際に銀歯がなくなり「あれ?左はどっちだ?」と戸惑うことに。
他にも「お父さんが座っている方」や「時計のある方」など変わってしまうものを基準に覚えていた場合、それがなくなったり、逆になったりした際に左右がめちゃくちゃになってしまいます。
もちろんその後覚え直すことのできる人も多いですが、中にはそのまま左右が曖昧になってしまうことも考えられます。
音読みや表記に違和感がある
右と左はわかるけれど「さ」「ゆう」という音読みがわかりにくいという場合もあります。
「みぎひだり」は「右左」なのに「さゆう」は「左右」で逆になるせいで覚えにくさに拍車をかけていますよね。
音読みと訓読みで語順が逆になってしまうのは、古代日本語の規則に「音が短い語が前にくる」というのがあったからだと言われています。
おそらく縦書きであった時代は「みぎ」が「左側」にきてしまうなんて考えてもみなかったんでしょうね。
左右盲の改善・対処方法
多かれ少なかれ理由はあれど、やっぱり左右がわからなかったり、間違えたりするのは恥ずかしいですよね。
左右盲の治し方や対処方法について見ていきましょう。
とりあえず落ち着く
左右盲の人にありがちなのは、とっさの指示に慌ててしまうこと。
あわあわして正常な判断がつかないうちに、なんとなくこっちかな?と思う方向が間違っているケースが多いです。
中には、左右に限らず同時にいくつかの情報を与えられたときに、混乱してしまうという人も。
たとえば運転中であれば、前の車や対向車に気を配り、カーナビの指示を聞き、さらに左右の判断までしなくてはいけないとやることは山積みです。
「右を見て」「左折して」と言われたら、ふうと息を吐きいったん落ち着きましょう。それだけで結構違ってきますよ。
腕時計やブレスレットなど左右どちらかに装飾を身につける
どちらかに自分で目印をつけるのは、わかりやすい手段なので、左右盲を克服する第一歩目にはおすすめです。
しかし目印がなくなった際にわからなくなってしまうのでは根本的な解決には至りません。
これを足掛かりに、少しずつ左右を感覚で覚えていくようにしましょう。
普段から左右を意識する
たとえば道を覚えるときにも「ポストのある方向」や「コンビニに向かって歩く」ではなく、「2個目の信号を左折」「銀行に対して向かって右」と意識づけることでも左右盲は改善していきます。
ただし始めは覚えにくくて道を間違えることもあるので、待ち合わせの際には時間に余裕を持つようにしましょうね。
それ以外にも日常生活で「今ペットボトルをもいっているのは右だな」「いまから左折をする」といったように自分に左右の問いかけをしていくこともおすすめ。
左右盲は病気ではない。けれど人に迷惑をかけることもあるので根気よく治そう
左右盲は病気ではありませんが、自分が恥ずかしい思いをするだけではなく、事故やミスにつながることもあります。
一日ですぐに治ることはないので、根気よく日ごろの習慣から見直していきましょう。