私は大学生の頃、親元を離れて一人暮らしをして気付いたことがあります。
それは、それまで過保護だと思っていた親の言動は、過干渉だったということです。
近くにいる時は「気遣い」や「心配」で片付けていましたが、離れてみるといかに過干渉であったのかが分かり、それ以来うまく距離を取ることで以前よりも良い関係を築けています。
この記事では、過保護と過干渉の違いや、過干渉な親の行動、その対処法についてまとめてみました。
過干渉とは?過保護との違いって?
以前「過保護のカホコ」というドラマもありましたね。
過干渉と過保護の違いはどのようなところにあるのでしょうか。
過干渉は親の意のままに子どもをコントロールすること
まず「過干渉」とは、子どもの思いや意思を無視し、親の意のままに子どもをコントロールすることを言います。
子どもが「遊びたい」「この学校に行きたい」という気持ちがあっても、そういった思いを汲み取ることはありません。
何もかも親が決めた道を歩かされることで、その子どもは自然に「親に確認する」ことが当たり前となってしまいます。
そのため、大人になっても、済む場所や就職、結婚といった時にも一人で決められなくなるといった問題が生じることも…。
過保護は親が養育の場面において必要以上に子どもを保護し、甘やかすこと
一方、「過保護」とは、子どもの思いや意見を必要以上に尊重し、甘やかして育てることを言います。
以前、スマホを操作しながら赤信号を無視して道路を渡った子どもが車と接触しかけ、前を見て歩かない子どもを運転手が注意したところ、親が「そんなことをさせるスマホゲームが悪い」と言ったというニュースを聞きました。
ここには、信号の色を確認もせずに横断したことを注意しなければいけないはずが、子の行為に対して悪い点を認めないという親の「甘やかし」があります。
必要以上に親に守られる子は、本来持つべき社会性が育まれないまま大人になる可能性があるでしょう。
社会に出てからも、会社を休むために親に連絡してもらうといった、周囲から非常識と思われる行為を続けることになりかねません。
過保護と過干渉の違いは、子どもの気持ちを尊重しているかどうか
子どもに自主性が無くなり、親がある程度の管理をするという点において過保護と過干渉は共通しているところがありますが、違うところもあります。
それは、子どもの気持ちや意見を尊重しているか、という点です。
たとえば過保護は「あの車が欲しい」という気持ちに対し「買ってあげるよ」と親が応えていますが、過干渉は「あの車に乗りなさい」と親が押し付けてきます。
あらゆることを自分の意のままにしようとする過干渉は、子どもを無気力にし、心理的に追い込みかねません。
躾とは紙一重かもしれませんが、親は過保護以上に、過干渉な言動をしすぎないよう、注意する必要があります。
どこからが過干渉になる?悪影響をもたらす親の行動とは
では過干渉とはどこからを言うのでしょうか。子どもに悪影響をもたらしかねない親の行動をいくつかピックアップしました。
- 子どもの遊び相手や友達を親が決める
- 高校や大学などの進路を親が決める
- 社会人になっても外出時の時間や居場所を親が管理して縛る
- 親の価値観を子に押し付ける
では一つずつ見ていきましょう。
子どもの遊び相手や友達を親が決める
保育園や幼稚園だと「あの子と遊んでおいで」と親が促すことも多いですが、小学校や中学校にもなれば、遊び相手や友達くらいは自分で決めるものです。
しかし、過干渉な親は「あの家の子とは遊んではいけない」「○○ちゃんとは遊んでいいよ」と相手を決めてしまいます。
小さい頃から「遊び相手は親が決める」ことを繰り返して育つと、大人になっても親に認められた交友関係であろうとするため、自分の感覚で友達をつくれなくなってしまうでしょう。
高校や大学などの進路を親が決める
子どもの興味や学びたいことを尊重せず、学校や学部なども一方的に決めてしまう親は過干渉と言えます。
親の「~であってほしい」はあくまでも願いあって、将来どうするかを決めるのは子ども自身です。
親として子どもに期待する気持ちは分かりますが、「~じゃないとダメ。」「~にしなさい」といった、子どもの思いを無視した押しつけで親が進路を決めてしまうのはやりすぎになってしまうかもしれません。
社会人になっても外出などの用事があっても親が時間や居場所を管理する
社会人になって、友達と遊びに行ったり、ちょっと出かけたりする時でも、誰とどこにいるのか執拗に聞いたり、帰宅時間を親が縛ったりするのは過干渉です。
外出時に「誰とどこへ行って、何時までに帰るのか」を言ってから出るのは躾として問題ないと思いますが、居場所を逐一メールさせたり、帰宅時間を一方的に決めるのは良くありません。
うちもそうでした。過干渉な親を持つ私は、社会人になりたての頃、21時頃からメールや電話が鳴りっぱなしになり、周囲に引かれたことがありました。(過保護じゃなくて今思えば過干渉だったんだな…。)
外出となると心配なこともあるかもしれませんが、執拗に時間や居場所を管理するのはあまり好ましい行為とは言えないでしょう。
親の価値観を子どもに押し付ける
「人は学歴が全て」「漫画は悪」といったような、親が持っている価値観を押し付けるのは間違いです。
考え方や価値観を受け止め、それをどう自分の中で消化して判断するかは子に委ねられているはず。
考えることを認めてもらえない子は無気力になって、何をしても否定されて無駄に感じてしまうかもしれません。
過干渉な親への対処法は?
私が実践している、過干渉な親への対処法について3つ挙げました。
- 言動を受け流す
- はっきりと断る
- ひとつ屋根の下で暮らさない
では一つずつ見ていきましょう。
言動を受け流す
過干渉な親は子に対して何事も「本人のために良かれと思って」やっています。
つまり、悪意をもって子に関わろうとしている親はほとんどいません。
そんな親の言動にいちいち反発していては、親をキレさせたり、悲しませたりするだけです。
そこで私は、ある程度親の言動を受け流すことにしています。
私の場合、社会人になっても「何時頃に誰とどこにいるか」を聞かれていたので、受け流し作戦を実行しました。
「また言わなかったでしょう」と怒る親に「まあまあ、気を付けるよ」くらいで受け流しながらじわじわ減らしていったことで、最終的には「出かけてくる」で「はーい」と返されるくらいにマシになりましたよ。
はっきりと断る
ただ、中には受け流しきれない時もあるでしょう。そんな時は、はっきりと断ることも大切です。
たとえば「この保険に入っておきなさい」「この株は買っておきなさい」など、自分のお金に関わるような問題は特にある程度の線引きをしておきたいもの。
また、大学の学部や就職、納得のいかないお見合いなど、自分の人生にとって重要な選択となることの舵は自分で切る覚悟をもっておくべきです。
親もいてこその自分ですが、自分の人生を親にコントロールされたまま生きるのは、勿体ない生き方だと思います。
ひとつ屋根の下で暮らさない
自分のお金である程度稼げるようになるまでは難しいかもしれませんが、過干渉な親と離れて暮らすことができれば、干渉の頻度も減り、悩んでいた親との関係も作りやすくなります。
ただ、あまりにも住まいが近すぎると逆効果になる可能性もあるので、中距離や遠距離くらいの一定の距離間は確保しておくのがおすすめです。
【まとめ】親や自分は過干渉すぎないか時々チェックしてみよう
今回は過干渉について説明しました。
親からすると、子は何歳になっても子です。愛情を持って接しているつもりなのに、それを「過干渉」と言われるとショックなものですよね。
けれど、過干渉は子の養育に悪影響をもたらす可能性もあるので注意が必要です。
また、過干渉な親に育てられた子は、自分が親になった時に自分が受けてきた過干渉っぷりを無意識に子に押し付けていまうかもしれません。
そうらないためにも、自分の親が過干渉すぎないかといったことは、時々チェックするようにしておきたいですね。