着物の基礎知識

着物の寸法直しの種類と料金の相場。丈を自分で調整する方法も紹介

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

寸法直し 着物の基礎知識
スポンサーリンク

「知り合いから譲り受けた着物の丈が短い」「リサイクルの着物の袖をもう少し伸ばしたい」等、着物のサイズが合わず困っている方も多いのではないでしょうか?

せっかく気のお気に入りの着物も、着れなければ「タンスの肥し」になってしまいます。

そこで、今回はそんなお悩みを解決すべく「着物の寸法直し」に焦点を当てて、種類や相場、また寸法直しをしなくても調整可能なテクニックなどを詳しく紹介していきます。

スポンサーリンク

着物の寸法直しとは

リメイク

そもそも着物の寸法直しとはどのようなものなのでしょうか?同じく着物のお直しの方法である「仕立て直し」とは何が違うのかも併せてみていきましょう。

寸法直しは着物の「部分的なサイズ」を変えたい時に行うもの

「寸法直し」は「着物の一部分のサイズを変える」時に行います。例えば以下のような場合です。

  • 着物を着た時に袖が短かすぎるので、裄(背中心から袖口までの長さ)を伸ばしたい
  • 丈が短くおはしょりを上手く作れないので、丈を伸ばしたい
  • 母親からもらった振袖の丈が長すぎるので、すこし短くしたい
  • 着物の幅が足りずはだけてしまうので、横幅を広げたい

このような場合は、サイズを変えたい部分の縫い目を解き、長さや幅を調節し縫い直します。

寸法直しと仕立て直しとの違い

寸法直しは着物の一部の大きさを変えるものでしたが、「仕立て直し」は「着物を新しく作り直す」作業のことを指します。工程は以下の通りです。

  • 1)着物の縫い目を全て解き、パーツをバラバラにする
  • 2)パーツ同士を縫い繋いで、1反の反物の状態にする
  • 3)ブラシなどを使って着物地を洗う
  • 4)生地を乾燥させてから、新しく仕立て直す

寸法直しをしたい部分が何カ所にも及ぶ場合には、仕立て直しを行う方がお得になる場合もあります。また、仕立て直しで着物から羽織へなど、別の物にも作り変える事ができます。

スポンサーリンク

寸法の直し方の種類と料金相場

着物の寸法直しにはどの様なものがあるのでしょうか?それぞれの種類と、具体的な方法、料金相場も併せてみていきます。

身丈直し|長襦袢の裾が着物から出てしまう場合など

襟合わせ

長襦袢の裾が着物のから出てきてしまうのは、長襦袢の丈が長いか、着物の丈が短いかのどちらかです。その場合は、「身丈直し」で裾の長さを調節する必要があります。

身丈を直す方法と注意点

着物の身丈が長い場合は、おはしょり部分でいくらでも調節できるので、まずは問題ありません。おはしょりで調整できないほど長い場合には、裾を裁断する方法と、帯で隠れる揚げ部分で調整する方法の2種類があります。

後者だと、本来の布地の長さを変えないため、元の長さに戻すことも可能です。

一方丈が短い場合は、おはしょりが上手く作れないので、身丈直しが必要。着物の前身頃、後ろ身頃にある「揚げ」と呼ばれる縫い代を使って、丈を伸ばします。

「揚げ」の長さは着物によってまちまちで、希望のサイズに伸ばせるかどうかは、この「揚げ」の長さによって決まります。「揚げ」が短すぎる場合には、伸ばす事ができません。

ただし、揚げは通常生地が折り返されていた部分のため、ただ伸ばしただけでは、不自然な折り目がついてしまいます。これを直すには別途料金が必要となることがあるので注意しましょう。

どうしても「身丈を長くして着たい」という場合には、おはしょりで隠れる部分に別の着物地を付けて伸ばす「胴接ぎ(どうつぎ)」を行います。

襦袢の場合は、多少短くても問題ありませんが、長い場合は着物の裾から見えてしまうので、丈を短くします。

身丈の適切な長さ

着物の身丈(着物の背中心から裾までの長さ)の長さは、着る人の身長±5cmがベストです。

また、長襦袢の丈は、身長の8割程が目安で、襦袢を羽織った時に「くるぶし」くらいの丈が丁度良いでしょう。

身丈直しの料金相場

身丈直しの料金相場は以下の通りです。

  • 「袷(あわせ)」の着物(裏地が付いている着物):15,000円程
  • 「単(ひとえ)」の場合(裏地が付いていない着物):10,000円程
  • 長襦袢:8,000円程

「胴接ぎ(どうつぎ)」の場合は、つぎ足す生地の費用などが発生するため、袷で、20,000円弱、単の場合は、15,000円程になります。

裄直し|長襦袢の袖が着物からでてしまう場合など

半襟

裄(ゆき)とは、背中心から袖口までの長さの事を言います。この裄が、極端に長かったり、短かったりする場合には寸法直しが必要です。

裄丈を直す方法と注意点

袖丈は短くする場合と長くする場合で注意点が異なります。

<裄が長い場合>

裄が長い場合は、「丈詰め」を行います。肩と袖の部分の縫い目を解き、縫い代部分を希望の幅に調整し、縫い直します。

「丈詰め」を行う場合には、縫い代の部分でいくらでも調節できるので、希望の裄にすることは簡単です。

<裄が短い場合>

裄が短い場合は、肩と袖の縫い付け部分の糸を解き、縫い代分を少なくし、縫い直す事で裄を長くします。

この時、肩と袖の縫い代が希望のサイズと比べて少ない場合には、裄丈を直す事ができません。縫い代がどれくらいあるのかは、着物によってそれぞれ違うので、一度仕立屋さんに希望のサイズまで裄を伸ばせるかどうか相談したほうが良いでしょう。

訪問着や振袖等のように、肩から袖にかけて模様が繋がっているような場合には、柄がずれてしまう場合もあります

裄丈の適切な長さ

裄丈の適切な長さは、手を真横に広げた時に「手首のくるぶし」にかかるくらいがちょうど良い長さと言われています。

裄丈直しの料金相場

裄丈直しの料金相場は以下の通りです。

  • 袷:7,000~9,000円程
  • 単:6,000円程
  • 襦袢:4,000円程

基本的には身丈より少し安く直すことができます。

袖丈直し|長襦袢と着物の袖丈が合わない、着物の袖を長く/短くしたい場合

振袖

袖丈とは、袖の肩の部分から、袖の裾の部分までの長さの事です。長襦袢と着物の丈が合わない場合などに、襦袢や着物の袖を長くしたり、短くしたりして調節します。

袖丈を直す方法と注意点

袖丈も短くするか長くするかによって注意点が異なります。

<袖丈を短くする場合>

袖丈を短くする場合は、袖の下側の縫い込み部分を解き、縫い代を多く取り希望のサイズに直します。

ただ、訪問着などで、柄が袖の下の方にある場合は、そのまま丈詰めを行うと柄の部分が無くなったり、少なくなってしまい、柄を生かす事ができません

そのような場合には、少し高額になりますが、袖を一旦取り外して、柄を生かせるように袖を作り直す事もできます。

<袖丈を長くする場合>

袖丈を長くする場合は、袖下の縫い込み部分を出して長くします。しかし、身丈や裄丈同様、袖下の縫い代が不十分な場合は、希望の長さまで袖丈を伸ばせない場合もあります。

丈直しを依頼する前に、まずは仕立屋さんに着物を持ち込み「希望のサイズまで丈を伸ばせるかどうか」を確認してもらうとよいでしょう。

振袖などのように、着物と襦袢がセットになっている場合には、襦袢の袖丈直しも必要です。

袖丈の適切な長さ

袖丈は、一般的には「身長の1/3弱が標準的な長さ」とされています。

例えば、身長170cmの女性の場合は、52cm、また150cmと少し身長の低い女性の場合には、48cm程が適切な長さです。

また、年齢によっても少し違い、若い人は長め、年配になるとやや短めで仕立てられます。

さらに、普段着やよそ行きなど用途によっても変わり、普段着は袖が扱いやすいように、やや短めに、訪問着などのフォーマルな着物の場合は長めに作られます。

したがって、人から譲り受けたものや、リサイクルやアンティークの着物を手にいれた場合などは、手持ちの長襦袢と袖丈が合わない事が多く、袖丈を直す必要が出てきます。

袖丈直しの料金相場

袖丈直しの料金相場は、以下の通りです。

  • 袷:6,000円前後
  • 単:5,000円前後

ただし袖を作り直す場合は、10,000円程と少し高くなります。

身幅直し|身幅が足りない場合

振袖04

身幅とは、体の中の「一番太い部分」の事で、一般的にはヒップのサイズです。

体格に比べて着物の横幅が狭い場合、着物を巻き付けた時に下前(着物を着た時に下になる身頃)と、上前(着物を着た時に上になる身頃)の重なり部分が少なくなり、歩いた時や座った時などに着物の前がはだけてしまいます。

このような場合に、着物の幅を広げる「身幅直し」が必要です。

身幅を直す方法と注意点

着物の身幅が足りない場合は、脇線の縫い目を解き、縫い込み部分の布を出して着物の幅を広げます。留袖や訪問着などの様に、模様が繋がっている場合、身幅直しを行うと柄が少しずれてしまいます。

希望の幅まで広げられるかどうかは、着物の縫い込みの長さ次第です。縫い込み部分の長さは着物によってそれぞれなので、身幅直しをしたい着物を着物屋さんに持ち込み、縫い込み部分の長さを確認してもらいましょう。

また、身幅直しをする場合には、袖を取り、両脇も解いてしまうことになるので、この機会にと、「洗い張り」(着物のパーツを全てバラして1反の反物の状態にして着物地を洗う)をして「仕立て直し」を行う人もいます

身幅の適切な大きさ

身幅の適切な大きさは以下の通りです。

身幅(ヒップ)+3cm後ろ幅(背中心から脇線までの幅)✕2+前幅(脇から衽(おくみ)線までの幅)+ 衽(おくみ)幅

上の式の誤差±5cm程が適切な幅と言われています。

身幅直しの料金相場

身幅直しの料金相場は以下の通りです。

  • 袷:13,000円程
  • 単:11,000円程
  • 長襦袢:10,000円程

また、洗い張りをして仕立て直す場合の金額は、35,000円程の費用がかかります。

スポンサーリンク

寸法直しをしなくても自分で調整が可能なケース

反物

サイズの合わない着物でも、着物の着方やちょっとしたコツなどで寸法直しをしなくても着こなす事ができます。

ただし、以下で紹介するいずれの場合も、時間に余裕があり寸法直しができるなら、ジャストサイズにしておいた方がよいでしょう。

着物の身丈が長い場合でも女性はおはしょりである程度調整が可能

着物の身丈が長い場合には、おはしょりの部分でいくらでも調節する事ができます。必要なおはしょりだけを残して、余分な部分は帯の中に隠してしまえば良いからです。

ただ、必要以上に長すぎる場合には、帯の中に隠した余り布が厚ぼったく溜まり、ゴロゴロして太って見えてしまう事もあります。

襦袢が長い場合も着物に合わせておはしょりをすれば問題なし

襦袢が長く、着物の裾からはみ出してしまう場合も、襦袢を着た後に裾を希望の長さまでたくし上げ、余った部分はウエストの部分で、腰ひもで止めてしまえば大丈夫です。

たくし上げて余った襦袢の生地は、おはしょりと同じように撫で下ろしておけば全く問題ありません。

襦袢とのサイズが合わないときは、安全ピンなどで襦袢を調節してもOK

襦袢と着物のサイズが合わず「着物の袖口から襦袢がはみ出てしまう」という場合には、襦袢の肩の部分を必要な分だけつまみ、安全ピンで固定する事で袖の長さを調節できます

自分であつらえたものでなければ、着物それぞれサイズも違うはずです。それぞれの着物にピッタリ合った襦袢を作る事の方が難しいかもしれません。

工夫できる所は工夫しながら、必要なもの、優先順位の高い物からジャストサイズに寸法直ししていきましょう。

スポンサーリンク

寸法直し以外のお直しや交換の種類と料金相場

電卓

寸法直し以外にも、着物のメンテナンスはいくつかあります。以下、その種類と料金相場をみていきます。

半衿付け

半衿は、長さ約1m程、幅約15cmの布で、衿周りの汚れを防ぐために、長襦袢の衿に付けて使います。

汚れたら取り外して洗ったり、着物によっても取り替えたりするものなので、外れない程度に簡単に縫い付けます。そのため、裁縫の心得が少しでもあれば、自分で付ける事は簡単です。

付け替えが面倒な場合は、両面テープを用いる人もいます。

仕立屋さんや着物店で付けてもらう場合の料金は1,000円程です

衿取り換え(つけ直し)

着物の衿は、衿全体に付いている「主衿」と、首回りの主衿に重ねて縫い付けてある「共衿」と呼ばれる部分から出来ています。

この「共衿」は汚れやすく、長年着用した着物などは特に汚れが目立ちます。染み抜きなどでは落としきれない共衿を、汚れの無いものと取り替えるのが「衿取り換え」です。

自分用に仕立てた着物で、共衿に使える残り布がある場合には、それを新しい共衿として付け替えましょう。

また、残り布が無い場合には、主衿の部分から共衿に使えるだけの布を取り、元の汚れた共衿は着物を着た時に着物から隠れる下前の部分に移動させます。

こうする事で衿の汚れが無くなり、キレイな状態に戻ります。衿の取り換え費用は、6,500円前後です。

バチ衿と広衿の変更

バチ衿、広衿は共に衿の部分の形状の事です。

広衿とは、着物を着る時に半分に折って着る衿の事で、慣れないうちは少し面倒なのですが、「広さを好みで調節できる」というメリットがあります。

バチ衿は、あらかじめ広衿を折った状態で仕立ててある衿です。

お直しで、バチ衿から広衿に、また広衿からバチ衿どちらにも変更する事ができます。料金相場は、6,000円前後です。

八掛取り換え(つけ直し)

裏地

八掛(はっかけ)とは、袷(裏地付きの着物)の裏地の事で、袖口や腰から下の裾周りの部分に付けられています。歩く、座るなどの動きによって、着物の表地が痛まないように保護する役割と、裾捌きを良くする役割があります。

八掛が汚れてしまったり、好みの色ではない場合、八掛だけを取り替える事が可能です。料金相場は、15,000円前後です。

胴裏取り換え(つけ直し)

胴裏(どううら)とは、袷の着物の裏地の事で、主に上半身に付けられている布の事を言います。

この胴裏が傷んだり、シミができてしまった場合などに、新しいものに取り替えます。

料金相場は、10,000~14,000円程です。

比翼直し

比翼とは、着物と長襦袢の間にもう一枚着物を着ているように見せるための白い布の事で、留袖などに付けられています。

この比翼が汚れてしまったり、変色したりした場合は新しい物に交換します。

比翼直しの料金相場は、19,000円前後です。

居敷当て付け

居敷当て(いしきあて)とは、単の着物や浴衣などのお尻の部分に、補強の目的で裏から縫いつけられる布のことをいいます。

この居敷当ての取り換えに掛かる料金は、4,000円前後です。

たるみ直し

着物の「たるみ」とは、袷(あわせ)の着物に起こる現象です。

座った時に腰の部分の生地が引っ張られる事により伸びたり、雨や湿気などで縮んだりした場合に、表地と裏地のバランスが悪くなる事で起こります。

たるみは特に、裾の部分に出る事が多く、表地と裏地の縫い目を解いて、たるみを整えて縫い直す事で解消します。

衿下や、おくみ等、たるみが着物全体に出てしまっている場合には、洗い張り+仕立て直しが必要です。

たるみ直しの料金相場は、程度にもよりますがだいたい5,000円前後です。

ほころび直し

脇や袖付け、裾など着物を着ているうちにほころびが出てきた部分の縫い目を直します。

また、縫い止まりなどの部分で、布に少し穴が開いてしまっているような場合には、接着芯を貼り付けて、着物地、裏地などを補強します。

ほころびの状態にもよりますが、小さい所なら1カ所1,000円程で直す事が可能です。

まとめ

サイズの合わない着物や襦袢でも、寸法直しを行えば、自分好みのサイズに仕上がります。

全てをジャストサイズに直さなくても、工夫次第でそのまま着用できる事もあります。

必要最低限の所だけを直して、手持ちの着物をどんどん有効活用しましょう。

タイトルとURLをコピーしました